「せっかくバイクにリターンしたんだから、これと相性の良いプラスアルファの趣味も再開しよう」
我が相棒GN125-2Fに乗り始めた頃、思い浮かんだ「再開すべき趣味」がキャンプと釣りでした。
いずれも若かりし頃から親しんだものの、忙しさにかまけて忘れていたアクテビティ。
GNに荷物を満載して行くキャンプは間違いなく最高だろうし、ツーリング先で気軽に竿を出すのもオツに違いない。
そう思っていたんです。
が・・・。
もしかしたら、相性が良い趣味が、必ずしも最適解とは言えないかもしれない。
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夜明け前。
早朝、5時。
春めいた陽気が続いたこの数日。
一日のうちで最も気温が低くなるこの時間でさえも、2〜3度はありそうな体感です。
こうなるとライダーの朝は早い。
というより今日は、「釣り人の朝は早い」というべきか。
霞ヶ浦へ、釣りandツーリングと洒落込んでみます。
釣具一式をバックパックに詰め込んで、新たに購入したスピニングを加えた2本のパックロッドを差して出掛けます。
このカリマー、確か購入したのは20年以上前のこと。
当時は「バイクに箱をつけるなんてもってのほか」だと思っていたから、どこに行くにも背負っていた愛用のザックです。
そこそこ荷物も入る上、スカスカで潰れていてもそれはそれでカッコいい、という逸品。
すでに生地も劣化しているし、メッシュのハーネスもほつれてきているけれど、まだなんとか使えそうです。
閑話休題。
霞ヶ浦に向け、出発します。
まだ完全に「夜」という暗さの国道6号を、茨城に向けひた走ります。
我孫子を抜け、利根大橋へ。
利根川を渡ると急に寒さが襲ってきました。
目的地までは50キロ弱の道のりだから、別に休憩を挟まなくてもいいか・・・、くらいに思っていたんです。が、寒くて耐えられない。
春めいてきたとはいえ、まだ3月も初旬。
この日も上下コミネの通勤スーツで完全防備です。万全の体制で来たけれど、暖かいコーヒーでも飲んでカラダの中から温めないと、これはちょっと厳しい。
反対車線にコンビニを見つけて一休み。
そろそろ日の出です。
空が白んできました。
一息付いて、このまま一気に霞ヶ浦へ。
目的地に設定した霞ヶ浦総合公園の少し手前で、釣りができそうなポイントを見つけました。
道路脇に仮設トイレ。
バイクを停めておけそうなスペースもあります。
ちょっと竿を出してみましょうか。
魚っけはぜんぜんないけれど、少し先では水鳥が何かをついばんでいます。
ということは、何かしらの小魚くらいはいるはずです。
それじゃ、それっぽいルアーでも使ってみましょうか。
いつものタックルにプロップベイト。
まずはこいつをぶん投げて遊びます。
キャスト!
おぉぉ。飛ぶ!
気持ちいい!
ルアーを投げて、抵抗を感じながら巻く。
この単純な動作を続けているだけで、結構「釣りしてる感」があって楽しかったりします。
しばらく遊んでいると、ヘラ師さんが近くに釣座を構えました。
そしてバス釣りの人も。
ということは、ポイント選びは間違っていなさそうです。
1時間ほどキャストを繰り返してみましたが、残念ながら全くアタリなし。
少し飽きてきました。
ちょっと移動してみます。
一旦湖畔を離れて、GNを走らせます。
次のポイント。
茂ったアシの際を狙ってみます。
せっかく新調したスピニングタックルを持ってきたことだし、たまにはライトリグでも使ってみましょうか。
と、思いきや。
スピニングリールに巻いていたライン、完全に傷んでいるようです。
針を結んだだけでプツンプツンと切れてしまいます。
数メートルの糸をカットして、結び直し。
これを何度か繰り返して、やっと結ぶことができました。
20年ほど前に買ったスライダーワーム。
パッケージには220円の値札が付いています。
ノーシンカーで軽くキャスト。
・・・。
ぜんぜん飛ばない・・・。
まぁ私がヘタクソなせいなんですが、この軽くて空気抵抗も大きいルアーをどうやれば上手いこと投げられるのか、イマイチ分かりません。
そして根がかり。
ちょっと竿をあおったら、また糸が切れてしまいました。
こりゃダメだ。完全に。
そもそもこんなんじゃ、万一魚でも掛かろうもんならその瞬間に切れちまう。
今日はスピニングロッドは温存だな。
糸を巻き替えてからちゃんと使おう。
竿を片付け、ついでにまた場所移動。
と言いつつも、実はすでに走りたくてウズウズしています。
いい天気。
日が高くなるに連れて気温も上がり、しかも湖畔という絶好のロケーション。
釣りをするならそこまでしっかり片付けなくてもいいはずなのに、パッキングを済ませた荷物は完全に帰る人のそれ。
そうです。
すでに釣りをする気は極小。
湖畔をGNで走っちゃおうと思っているわけですよ。
お昼までは1時間余り。
ちょっとを足を伸ばしてみよう。
日差しは暖かいものの、感じる空気は少し冷たい。
バイクには最高の季節です。
たぶん釣りをするにも最高の季節なんだろうけど、釣りとバイクを秤にかけたらバイクの方に傾いてしまいました。
少しの間、湖畔のサイクリングロードを楽しんで、お昼は九州民の心の友、ジョイフルへ。
来た時に見かけてから「お昼はジョイフル」と心に決めていたんです。
気の向くままに走って、好みのお店で好きなものを食べる。
この時点で、釣り要素は皆無。
完全に普段のツーリングのスタイルです。
バイクと釣り。
確かに相性はいいんです。
バイクとお酒みたいに、全く相容れない関係の趣味とはワケが違う。
はずなのに・・・。
この二つ、どうしたって「もってこいのシチュエーション」が被りすぎてしまいます。
いい天気だったり、風が強くなかったり、寒過ぎず、暑過ぎずの陽気だったり。
そして釣りをするスポットといえば、海にしろ川にしろ、たいていはバイクで走って楽しい場所の条件を満たしてしまいます。
そして私は、その要素を満たした貴重な時間とその場所を、ついついバイクに全振りしがち。
この日もそうでした。
たぶん竿を振っていたのはせいぜい1〜2時間。
あれだけ朝早く出たというのにも関わらず、です。
ええ。そのほとんどを、走る時間に費やしてしまいました。
バイクと釣り。
確かに相性が良いのは間違いない。
しかし、どちらに時間を費やすかは、結局トレードオフの関係になってしまう。
これならむしろ「晴れたらバイク。雨が降ったらアルコール」というバイクとお酒の関係の方が、よっぽど「相性の良い二つの趣味」と言えるんではなかろうか。
互いに干渉し合わないから。
どうしたらうまく両立できるのか?
おそらく簡単に結論は出ないでしょう。
が、一つだけ学習したことがあります。
「ちゃんと釣りをしようと思うなら、初めから車で出かけた方が良い」
そこにバイクが無いのなら、走り出しちゃうこともないのだから。
「バイクと非常に相性の悪い趣味の話」はこちら↓↓↓