早朝5時過ぎ。
常磐線下りの始発で福島に向かいます。
目的地はいわき。
レンタルバイクでツーリングをしたり、お酒を楽しんだりする旅の始まりです。
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もどかしい1ヶ月を乗り越えるため、ありとあらゆる手段を用いた我慢を知らない3人組。
お揃いのTシャツと赤いスニーカー、そして夜の街徘徊用のプロレスTシャツを携え、一路いわきへ。
さて、賢明な読者の方ならお気づきでしょう。
向かっているのが宮城県の「仙台」ではなく福島県の「いわき」です。
2日前。
一向に回復しない仙台エリアの天気予報に見切りを付けて、全ての予約をキャンセル。
そのまま一気にレンタルバイクもビジネスホテルも取り直すという荒技を繰り出したのでした。
せっかくの遠征ツーリング。
急なキャンセルになった宿とバイク屋さんには申し訳ないけれど、やはり少しでも天気の良いエリアを選びたい。
しかし、これまで調べに調べたツーリングルートはこれで完全にまっさら。
もちろんまだ1日あるから調べる時間はなくはないけど、ここまで来たら行き当たりばったりでも構わない。むしろその方が、思いがけない新鮮な喜びが味わえるかもしれない。
そんな期待に胸を膨らませ、同じくらいに膨らんだ荷物をキャリーバッグにまとめます。
1泊2日と思えない、海外旅行レベルの大荷物。
袋に詰めたヘルメットをぶら下げて、キャリーをコロコロ転がして、常磐線の始発目指して早朝の街を歩きます。
いわきまでは3時間余り。
特急も走っていない時間帯のため、鈍行をいくつか乗り継ぎ目的地を目指します。
スマホ片手にツーリングルートや夜のお店を検索していると、あっという間に到着です。
ニクドロさんと合流し、タクシーでレンタル819いわき店さんへ。
我々が予約していたレンタルバイクたちが店頭に並んでいます。
私はGSR250。
ニクドロさんはCB400super four、tunaさんはVストローム250。
ちなみに私が選んだGSR250、リターンした際に初めてレンタルしたバイクがこれでした。
すごく乗りやすくて楽しかった記憶があるので選んだ1台です。
店内で手続きをしていると、tunaさんが到着しました。すでにプロレス部のユニフォーム「トランキーロTシャツ」を着て準備万端の装いです。
私も早速それに着替えます。
お揃いのTシャツに、お揃いの靴。
大人になってこんな遊びをするとは思いもしなかった。
ここだけの話、実はこれが一番嬉しかったコト。
ツーリング自体よりも、そんな「特別なイベント感」が今回の最大の楽しみでした。
「大人の遠足」
大人が子供に還る旅です。
あ、ニクドロさん・・・。
せっかくのTシャツが隠れてるよ・・・。
目的地は「猪苗代湖方面」に決めました。
あくまでも「方面」です。
猪苗代湖までは120キロもあるんです。
8時間のレンタルじゃ、ちょっと時間的に厳しそう。
とりあえず適当に走って、適当にご飯を食べて、適当に目的地を変更してやればいいんです。
3人で走ってるだけで、これ以上ないくらい楽しいだろうと分かってるから。
出発します。先頭は私。
この3人だと、風来爺、tuna、ニクドロという順番が定番です。
理由は簡単。
ニクドロさんが後ろから動画を撮るからですよ。
「まずは母畑湖を目指しながら、途中でご飯でも食べましょ!」
インカムを通してそう告げて、国道49号を北西へ。
山の方向を目指します。
雨の心配もありそうだけど、Tシャツの重ね着に受ける風が心地よいです。
周囲が山っぽい雰囲気を醸し出してくると、時折目につく良さげなお食事処が気になりだしました。
なんせこの私、タイミングを逸して朝から何も食べてないんです。
「ちょっと早いけど、どっか良さそうなトコがあったらお昼にしません?」
そう伝えてから、ものの数分。
間髪入れずに通りっ傍の食堂に乗り入れました。
まだ30分ほどしか走ってないけれど、私の空腹感が限界に近いレベルです。
そこで見つけたこのお店。
なんせ店名が「ドライブインまんぷく」ですからね。
素通りするわけにはいきません。
ササミフライとお刺身の定食、だったかな?
ツーリングのお昼。
目当てのお店を目指して走るのも良いけれど、こうやってなんの事前情報もないお店にふらっと入るのも好きなんです。
もちろんちょいちょいハズレますよ。
孤独のグルメのように毎回当たりを引けるわけではないけれど、たまに引いた「小当たり」でも嬉しくなったりしますから。
今回は大当たり。
なんせ遠いしちょいちょい来るわけではないから、「絶対また来ます」なんて大嘘は言えないけれど。
改めて、母畑湖へ向けて駒を進めます。
適度なワインディングを適度なスピードで。
気持ちの良いツーリングです。
やっぱりGSRはホントに素直で扱いやすい、楽しい楽しいバイクですね。
GNに比べたらちょっと前傾ではあるけれど、長距離を走ってもツラくなさそうなポジションもGOOD!
でも久々のレンタルだから「もっと尖った性格のバイクを借りても良かったかな?」なんて気もしてしまいます。
後ろを走るtunaさんが「GNに乗ってる普段の風さんと見た目が全く変わらない」なんて言うくらいでしたから。
風景の緑が濃くなって来ました。
第一の目的地に設定した母畑湖が近いようです。
「母畑レークサイドセンター」の看板が見えました。ここで一息入れましょう。
ここはキャンプ場やテニスコートがある公共の施設。
ちょっと休憩と言いながら、それぞれが借りて来たバイクを乗り比べてみます。
初めて乗るVストローム250。
大柄でゆったりしたポジションながらも足付きは良好。
エンジンはGSRと同じかな?
いや、排ガス規制を考えると完全に同じではないでしょう。が、似たような印象を受けるエンジンです。
低速トルクも十分。小気味良く回ります。
これは乗りやすい!
おまけに大容量のタンクで航続距離もトップレベル。
ほんの少し駐車場で動かしただけでも、人気の理由が分かる気がします。
フルパニアにして旅に出たい。
そんなバイクです。
そして久々のCB400 super four。
最後に乗ったのはホンダのライディングスクールだったかな。
私はどちらかと言うとバイクには1発1発の鼓動感を求めてしまうクチなので、4発を所有したのは後にも先にもバンディット250の1台だけ。
それも20代の頃なので、かれこれ20年以上前の話です。
久々に味わう4気筒エンジンの咆哮はやはり格別。
軽くスロットルを開けただけでタコメーターの針が踊り、猛々しい唸り声を聴かせてくれます。
そしてCBというアイデンティティを確立した美しいデザイン。
今となっては高嶺の花となってしまった感がありますが、さすがは長年愛される1台です。
しかし4気筒の回転を味わうには、残念ながら駐車場では狭すぎました。
もちろんVTECを堪能することもできません。
これは近いうちに自分でレンタルして、ゆっくり乗ってみなきゃならないですね。
気付けばかなりいい時間です。
猪苗代湖は早々に諦めて、ここから海に向かうことにしました。
「もう十分!」というほど山を満喫したわけではないけれど、せっかくだから海沿いだって走りたい。
返却時間も考えなければならないから、さらに遠ざかるわけにもいきません。
小名浜に針路をとります。
ナビを頼りに3台連ねて走ります。
時おりインカムを通して、VTECに入ったニクドロさんのCBの雄叫びが聞こえます。
やっぱり楽しそうだな、CB400 super four。
1300では気軽に回すわけこともできないだろうから、やっぱりレンタルするなら400だな。
山を降りたら、路面がずぶ濡れになっていました。
通り雨でしょうか?
かなりの大雨が降ったようです。
途中からカッパを着込んでいたけれど、ほとんど降られることもなく走って来られたのは日頃の行いの賜と言うべきでしょう。
小名浜港へ。
想像していたよりも、広くて綺麗な港でした。
いくつもの埠頭が並び、ショッピングモールのような物産センターや水族館なども立地する観光スポットです。
「いわき・ら・ら・ミュウ」の駐車場を素通りして釣りをしている方々に近づいて行ったら、「ツーリング?」と声を掛けられました。
「千葉と青森から来て、レンタルバイクでツーリングしてきました!」
嬉々としてそう答えます。
するとそこに、カワサキの4気筒に乗ったお兄さんが現れました。
往年のカワサキの名車に明るくないので詳しくは分からなかったけれど、すごく大切にされていることが伝わるZです。
最初に声を掛けてくれた方ももちろんバイク乗り。
レンタルしたお店のことも良くご存知のようで、しばしバイク談義に花が咲きます。
ついでに、ということで・・・。
3人揃った写真も撮ってもらいました。
そもそもマスツーリングの経験自体も少ないけれど、そういう時にみんなで撮る記念写真は気付けば今回の旅が初めてかもしれません。
そしてこの日のために用意した、お揃いのスニーカー。
大した距離も走っていないけど、心の底から満喫しました。
そろそろバイクを返しに行かなきゃならない時間です。
いつもなら、ゴールが近づくにつれて寂しい気持ちになるけれど、今日は別。
まだまだ夜の部が待っています。
なんて幸せな時間。
これから宿に駒を進めて宴会です。
この日のツーリングの様子はニクドロchでご覧ください↓↓↓
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