「明日空いてたら、八千代のロイヤルエンフィールドでも覗きに行きませんか?」
土曜日の夜、お酒を飲みながらウダウダしていたら、にくどろ(@dj_nikudorobo)さんから何とも魅力的なお誘いが入りました。
ちょうど栃木方面を走ってきた彼のツイートを見て、岩下の新生姜ミュージアムにでも行こうかと調べていたところ。とはいえ別に生姜に何の思い入れがあるわけでもなく、単に翌日のツーリング先を探していただけの話です。
そりゃロイヤルエンフィールドの方が圧倒的に魅力的。
「それじゃロイヤルエンフィールドを見て、そのあとちょこちょこバイク屋巡りでもしましょうか」
あっという間に素敵なツーリングプランが立ちました。
梅雨の晴れ間。というか夏。
メッシュジャケットに身を包み、我が相棒・GN125-2Fに火を入れます。
待ち合わせ先は目的地のすぐ近くのセブンイレブン。悪名高き渋滞スポットを抜けなければならないから、ちょっと早めに出発です。
日曜日だったからか、ちょっと早めの時間だったからか、件の渋滞スポットも難なくクリア。
少し早めに到着してジャケットを脱いでタバコに火をつけたら、にくどろさんも程なく到着です。
しばし談笑の後、目と鼻の先のロイヤルエンフィールド千葉へお邪魔します。
私のお目当てはコンチネンタルGT、にくどろさんはヒマラヤ。
それがいきなり目に入りました。魅惑の2台。
ともに店頭に並んでいます。
か、か、か、カッコいい。
コンチネンタルGT。
現行のバイクの中でも最も好きなデザインと言ってもいい1台です。
ハンドルからタンク、シート、テールランプまでが一直線に低く並んだ「これぞカフェレーサー」というスタイル。
シングルシートの方がより雰囲気があるけれど、ダブルシートもそれはそれで悪くない。
キャッキャしながら見ていたら、お店の方から声を掛けられました。
「コンチネンタルGTもヒマラヤも試乗車なんで、乗っていただけますよ」
!?!?!?!?
試乗車、だと!?
さすがに乗れるとまでは思っていなかったので、これは嬉しい誤算です。
もちろん乗ります。乗せていただきます。
店内でそそくさと手続きをして、早速跨らせてもらいます。
身長167cmの私でも、足付きは悪くありません。
が、シートから脚をまっすぐ下ろすと、ちょうどステップとシフトレバーの間を通すような位置。
足の上げ下げで引っかかるような気がして、これがちょっとだけ不安です。
そして1番気になっていたセパレートハンドル。
「セパハンの割には前傾はキツくない」と聞いていたものの、乗車姿勢が極めて楽チンなGNに慣れた身には、かなりの前傾姿勢を強いられている感覚です。
「長距離を走ると疲れそう」とかいう以前に、シンプルに怖い。
エンジンを掛け、恐る恐る走り出します。
空冷2気筒の小気味良い鼓動が感じられます。
これはすごく気持ちいい!
大排気量車にありがちな極低速でのガタつきもなく、それでいて大人しすぎない。
偉そうな言い方をすれば、「素性の良い2気筒」です。
でも・・・。
「楽しい」とか、「気持ちいい」とかよりも、やはり怖さが先に立ってしまいます。
なんせ借り物。
絶対にコカす訳にはいきません。
前傾姿勢でカーブを曲がるのも、信号待ちで足をつくのも、全てにおいて緊張してしまう。
「それじゃ候補にならないじゃないですか!」
そう言って、にくどろさんが笑います。
確かにその通り、なんだけど・・・。
乗っている間中、「怖い!怖い!」を連発していたけれど、コンチネンタルGTに対する興味とか、「このバイクが好きだ」という印象は、全くと言っていいほど薄れませんでした。
「慣れたら楽しいんだろうなぁ」
走っている最中、何度も口にした言葉です。
もっと的確な言葉に言い換えれば、「これに慣れて楽しく走れるようになりたいなぁ」です。
そしてバイクを交換。
今度は私がヒマラヤ、にくどろさんがコンチネンタルGTです。
アドベンチャーバイクとしては比較的小柄なヒマラヤに跨り、スタンドを払います。
「軽っ!!!」
想像していたよりも、ものすごく軽い。
実はコンチネンタルGT、結構重かったんです。
カタログスペックは212kgなので実際の車重は決して重くはないんですが、サイドスタンドが深く車体が寝ているので、起こす時にものすごく重く感じる。
そのせいもあって、乗り換えたヒマラヤの軽さが際立ちます。
コンビニを出て、さっきと同じルートへ。
前傾姿勢でヒヤヒヤしながら走ったコースが、今度は全く違ったものに感じます。
「なにこれめちゃめちゃ乗りやすい!」
「ひゃはははは。クッソ楽しい!」
にくどろさんが撮影していた動画を見返すと、ひたすら大笑いしながら絶賛しています。
それほどまでに乗りやすく、フレンドリーなバイクだったようです。
にくどろさんも同じ印象を抱いたようでした。
「長距離走るなら、これが最強ですよね」
そんな言葉で、ヒマラヤの感想を語ります。
重心が高く、オフ車のようなヒラヒラ感。
それでいてシートの座り心地も悪くなく、数百キロならお尻のダメージも少なそう。
それほど大振りでもないスクリーンも、体力を奪う向かい風をしっかり軽減してくれます。
ホント、どこまででも走れそうなバイクです。
「いかがでした?」
お店の方からの問いに、こう答えました。
「ヒマラヤは乗りやすくてめちゃめちゃ楽しかったです!が、コンチネンタルGTはひたすら怖かった」
なんとも正直な気持ちです。
でも、ね。
もし大型を買うとしたら、有力な候補となるのはやっぱりコンチネンタルGTの方なんです。
怖かったし、長距離走ると疲れそうだし、大して荷物も積めなそうだし、私の使い方にはまったくマッチしてないけれど。
なんと言ってもコンチネンタルGTのあのデザインが、そんなネガティブな要素を全て吹き飛ばすくらいカッコいい。
もちろんヒマラヤのデザインも嫌いなわけではないですよ。
アドベンチャーバイクでありながら丸目1灯のクラシカルなデザインは唯一無二のもの。そしてそれは、私の好みにしっかりと合致しています。
でも。それでも・・・。
コンチネンタルGTのカフェレーサースタイルは別格です。
それと、もう一つ。
バイクには、ちょっとした「しんどさ」みたいなものも求めてしまう。
GNは買い物にも通勤にも活躍してくれる万能選手だけれど、もし増車するのであれば、もう一台はオールラウンドプレイヤーじゃなくていい。
何か一つだけ、突出した楽しさがあるのであれば、我慢しなきゃならないところがあってもいい。
そんな風に感じてしまうのです。
最近はレンタルもしていなかったので、久々に乗ったGN以外のバイクです。
緊張感が先に立ってしまった部分が大きいけれど、それはそれは楽しい試乗となりました。
今回お世話になったのは、ロイヤルエンフィールドとマットモーターサイクルズの正規販売代理店、バイクショップBEAT!さん。
外観も内装もとってもお洒落で怯んでしまいそうですが、スタッフの方々はフレンドリーで入りやすい素敵なお店です。
スクラム411が出たら、また見に行こう。