優しい味の雲呑麺で小腹を満たし、いよいよ宿へ。
今宵の宿は伊豆マリオットホテル修善寺です。
ホントは正統派純和風温泉旅館に行きたかったけど、なんせお一人様でそんな宿に泊まろうものならいくら掛かるか分からない。
という懐事情を含めた諸々の理由から、本気のリゾートホテルにソロで泊まるというアクロバティックな技を繰り出すことになりました。
チェックイン。
駐車場に停めた我がGNのナンバーを聞かれたけれど、そういえば覚えていませんでした。
「バイクで来る方はほとんどいないので、分からなくても別に構いませんよ」
あ、そうなのね。
ソロはともかく、カップルライダーとかなら来ても良さそうなのに。
少なくとも今日バイクで来てるのは、私一人のようでした。
というか、そもそも「一人で来てる」のも、私一人なのかもしれない。
でも全然気にしない。こちとらぼっちには慣れています。
温泉旅館の大広間で一人でメシ食うことさえ何度か経験済みですからね。
ホテルだったら余裕余裕。
やった! 部屋も広い!
もちろんツインルームです。
シングルなんて設定すらなかったですよ。
しかも、ちゃんと畳敷き。
座椅子に腰を下ろして、くつろいでみます。
悪くない。悪くないぞ。
一息ついて温泉へ。
大浴場、なんと貸し切り。
誰もいませんでした。
のんびり、のんびり湯船に浸かって、今日の疲れを癒しましょうか。
あぁ。やっぱりいいなぁ、温泉。
久々に走った170キロの行程。冷たい風に晒されて凝り固まった身体をゆっくりと伸ばします。
このまま少しお酒と軽い食事を楽しんで、部屋でゴロゴロしながら今日一日を振り返ってニヤニヤしよう。
日帰り温泉だとかスーパー銭湯だとかはしょっちゅう行っているけれど、このまま酔っ払って寝てしまえる温泉宿はやはり格別。
暖まった身体に、今度は冷えたビールを流し込みます。
最高、とはこのことだな。
部屋でのひと時をしばし楽しんで、夕食へ。
実はこれだけが唯一の誤算でした。
ホントはラウンジでお酒を飲んで、軽食を楽しめればいいや、くらいに思ってたんですよ。
「イズシカ肉のハンバーガー、食ってみたいな」って。
が、果たしてそれは叶いませんでした。
コロナの影響か、ラウンジ、休業中だそうです。
カップルやファミリーで賑わうリゾートホテルのメインダイニングでぼっちメシか。
さすがにちょっと怯む・・・。
部屋で飲んだビールで、すでにほろ酔い。
今度はウイスキーでももらいましょうか。
オールドファッション。
ご飯に合わせるお酒ではないけれど、なんせもう「そういう気分」だったもんで。
あとはサラダとお肉でも。
シーザーサラダと鶏もも肉のタルタルソースをお願いします。
・・・・・・・・・。
え? ちょっと待て!
想像してたのと全然違うんですけど。
なんせね、デカいんですよ。
シーザーサラダ、ロメインレタス1/4サイズじゃないですか?
これ、とてもじゃないけど一人で食う量じゃないぞ。
いや確かに普段の爺なら問題ないレベルです。
が、今日は軽めのつもりだったから、さっきラーメンなんか食っちゃったし。
その時おまけにご飯まで頼んじゃったし。
お風呂上がりにビールだって流し込んじゃってます。
しかも、ね。
写真には撮っていないけど、これにパンまでついていたんです。小食の女性だったら、一品だけでも多過ぎなくらい。
あ、そうか。
なるほどね。
一人で来る奴なんか、想定してないもんね。
シェアして食えってことか。
なるほどね。
こういうトラップがあったのか。
リゾートホテル、侮りがたし。
食事が済んだらもう一度温泉に入ろうと思っていたけれど、無理。
動けません。
温泉の後にもう一度飲もうと思って買ったチューハイが残ってるけど、さすがにこれも入らない。
部屋でゴロゴロして、このまま寝てしまおう。
明日早起きして、ゆっくり温泉につかればいいか・・・。
翌朝、6時。
止め忘れていたアラームの音で目を覚まします。
よく寝た!
体調も万全!
早速大浴場に向かいます。
さすがに「またも貸し切り!」とはいきませんでしたが、手足を伸ばしてゆっくりと浸かることができました。
さてさて2日目。
今日のテーマは「紅葉狩り」です。
竹林の小径と、修善寺自然公園もみじ林に行ってみよう。
せっかくだからホテルの朝食は我慢して、どっか良さそうなお食事処に入ってみようかな。
そそくさと身支度を整え、早々にチェックアウト。
昨日来たルートをそのまま戻ります。
すると・・・。
「旭滝入口」
そんな看板が出ています。
昨日は気付かなかったな。ということで、左折。
路地の先には、お宮さんがありました。
このすぐ裏手が滝のようです。
登っていくと・・・。
旭滝。
思ったよりも、大きな滝です。
たまたま居合わせた方の話によると、これでも今はかなり水量が少ないそう。
こりゃイイもん見たな。気付いて良かった!
このまま修善寺まで走って、お土産屋さんの駐車場へ。竹林の小径を歩いてみます。
竹の緑と紅葉の赤のコントラストが見事という他にないほどの鮮やかさ。
写真を撮りつつ、少し散策してみましょうか。
紅葉もまさに見頃。
この上なく良いタイミングだったようです。
もう一度GNを駆って、今度は修善寺自然公園もみじ林へ。
2キロほど、山を登っていきます。
こちらはむしろあと一息、といったところ。
残念ながら富士山も雲を被っておりました。
うん。満足。そろそろ帰ろう。
帰り道も思う存分満喫したいから、時間に余裕を持って出発です。
帰りも行きと同じルート。山伏峠を抜けて熱海を目指します。
峠を越えて眼下に広がる熱海湾の光景は、こちらからのルートの方がより壮観な眺めです。
うひゃぁぁぁぁぁ!!!
ヘルメットの中でひとしきり声を上げ、またも写真も撮らずに走り抜けてしまいました。
写真もいいけど、やっぱりバイクの楽しさには勝てません。
熱海着。
「そろそろお腹が空いたなぁ」という絶妙のタイミングで目に入ったのは「くるまやラーメン」の看板でした。
くるまやラーメンか。久しく食べてないな。
20代の頃はしょっちゅう行ってたのに。
朝出る時はなんか良さそうな土地の食べ物でも、なんて考えていたんですが、何の躊躇いもなく駐車場へイン。
やっぱりこの時期、バイクで走っていると頭の中がラーメンになっちゃうんですよね。
皆さんもあるでしょ?
海鮮丼を食いに行ったのに、なぜだかラーメン食べて帰って来ちゃうこと。
たまたま今回はそれが2日続いただけ。
でもね。久々に食べた味噌バターコーンラーメン。
そしてご飯と餃子のランチセット。
懐かしさが込み上げてきます。
ああコレ、昔はホントにしょっちゅう食ってたんだよなぁ。
くるまやラーメン。実はたぶん20年振りくらい。
あんなに大好きだったのに、たまたま仕事のエリアにお店がなくなったからなんでしょう。
「伊豆」という土地には何のゆかりもないチェーン店だけど、なんか今回もドンピシャの選択だった気がします。
ヨシ。満タン。
続きを満喫しよう。
そう思って走り出したら、熱海から小田原までのご機嫌コースはあっという間に終わってしまいました。
コンビニにバイクを停めて、帰り道を検索します。
Google先生が示しているのは来た道とは違う、大磯から内陸に北上して厚木を目指すルートです。
しばし逡巡。
厚木ルートは海から離れてしまうものの、それはそれで懐かしい土地。
10数年前に仕事で駆けずり回った時の気分を思い出しながら走るのも、それはそれで悪くない。
が、そうすると厄介なのが都内の道。
渋谷から東京まで、苦手なルートを通らざるを得なくなります。
かと言って海沿いを横浜まで走ったら、そこから都心を抜けるまで、延々と渋滞に捕まることでしょう。
少し悩んで出した答えは内陸ルート。
小田原厚木道路の側道を、厚木に向けて走ります。
厚木から国道246号へ。
若かりし頃の爺がバンディットやXT200を駆って走った伊豆や箱根からの帰り道、小田厚を降りて捕まる酷い渋滞に辟易していたポイントです。
全く嬉しい思い出ではないけれど、それでもやはり懐かしい。
途中、海老名辺りで事故渋滞に捕まったけれど、それ以外は比較的順調。
と、思っていたけれど、やはり都内に足を踏み入れた瞬間に後悔することになりました。
流れないわけではないものの、ものすごい混雑。
車線を跨ぎながら、ぎゅうぎゅう詰めで走る車の列。
やはり都内は難易度が高い。
しかも走れば走るほど、到着予定時間は後ろにズレていきます。
そろそろ身体も疲れて来ている上に、精神的にもダメージが蓄積します。
距離にしたら大したことはないんだけれど、かなりの時間を費やすことになりました。
やっとの事で東京駅。
これを越えたら、山手線の輪っかの外に出られます。
ふぅ。長かった・・・。
なんて思っているはずなのに、その一方で「ここ曲がったら東京駅の正面だよな」なんて考えてしまう別の人格がいます。
せっかくだから東京駅を真正面から拝んでから帰ろうじゃない、と。
こうやって寄り道するから、どんどん帰りが遅くなるんですよ。
ホント、バカだなぁ。
でもね。
ライトアップされた東京駅、やっぱり見ておいて良かったです。
別に電車で来れば何てことはないんだけれど、GNで東京駅に向かって走ってみると、やはりそれは感慨深い。
最後のちょっとしたイベントとして、これを追加しておいて良かったな。
満足した。
今度こそ、ホントに帰ろう。
後は6号を下るだけ。
いつものツーリングとも、キャンプとも違う、非日常の2日間。
心から、満喫したぞ。
明日からまた、頑張ろう。