空冷単気筒149ccのエンジンを積んだクラシカルなスタイルのネイキッドバイク。
こいつ、GPXのLegend150S(レジェンド150S)を一言で表現したらこんな感じ。言葉にすると、何の変哲もないバイクのような伝え方しかできません。
ですが私、まず見た目にやられてしまった。
オーソドックスな丸目1灯。
スリムでありながら無骨さも感じさせるデザイン。
往年のバイクをイメージさせるけれど、単なる懐古趣味ではない普遍的な美しさ。
こういう表現を好まない方もいるだろうけれど、軍用車にも通じるような質実剛健な魅力を感じました。
乗ってみるとそれは、想像を裏切ることなくただただ超えてくる、そんな一台でした。
エンジンに火を入れてまず驚いたのが、その排気音。
ドゥルルルル・・・。
「あれ? これ150だよな?」
私の相棒GNと25ccしか差がないとは思えない、かなり図太い低音が響きます。
スペック上、それほど大きなトルクの差は無いでしょうが、この音のおかげでかなり大きな排気量のバイクに跨ったような錯覚を起こすほど。
少しだけアクセルを開けながらクラッチを繋いで走り出す。すると・・・。
今度は想像していた以上のヒラヒラ感。
低音が響く排気音とは裏腹に、軽快なフットワークを披露してくれます。
20キロほど軽いはずの我がGNより、むしろ軽く感じる。
漠然とスクランブラー的なイメージを抱いていたせいか、ちょっとオフ寄りの柔らかいサスペンションを想像していたんです。
でもこいつ、サス自体はかなりシャキッとしています。
着座位置も比較的高いため、ライディングポジションは軽い前傾姿勢。
走り出したそれはスクランブラーでもフラットトラッカーでもなく、紛れもなくロードスポーツです。
前も後ろも車列が連なる流山街道を外れて、脇道へ。左折してアクセルを開けると、ワンテンポ遅れて穏やかに加速します。
この辺りは見た目の印象通りの味付け。
そこでも太い排気音が良いアクセントになって、五感全てを刺激してくれます。
ハンドリングもピーキーさはなく、それでいてモッサリ感もなく、良い塩梅。
このバイク、思った以上に楽しいぞ。
オフ寄りの印象こそ覆されたけれど、それ以外はこのバイクのスタイルにぴったりと合致した乗り味。
前後輪とも「もうちょい接地感が欲しいかなぁ」という印象も受けましたが、もしかしたらタイヤの皮むきも終わっていないかもしれません。
シフトもそう。
まだ当たりがついていない感じです。
慣らしが終わるころには、もっと気持ちの良いバイクになっていそうです。
スペックシートによると、最高出力は9.15PS、最大トルクは1.01Kgf/m。
いずれも発生回転数は8,000回転となっています。
え? 9.15PS???
ものすごい違和感。
正直言って、私のGNより低いとはにわかに信じられません。
と思っていたら、やはりそれを指摘されている方がいらっしゃいました。
Legend150SオーナーのReturner(@FZ25_Returner)さん。
こちらの動画で詳しく紹介されてます。
気になる方はぜひチェックしてください↓↓↓
行きつけの車体鑑賞スポット、江戸川の堤防へ上ります。
軽い車体でUターンも楽々。
クルッと向きを変え、川沿いに停車。
フレーム、エンジン、マフラーまで全てがブラックアウトされ、これによって一層引き締まった印象を与えています。
アップマフラーを装着してスクランブラーにカスタムするも良し。
セパレートハンドルでカフェレーサースタイルにしても似合いそうです。
小排気量車にありがちな安っぽさは皆無。
それもそのはず。
このGPX、タイの中でも高級路線のバイクを生産するメーカーとのこと。
いわゆる「軽二輪」までのラインナップに限られますが、どの車種も高いクオリティで作られているのが分かります。
私がこのGPXというメーカーを知ったのは、確か2年ほど前のこと。
たまたまネットで見かけた「ジェントルマン200レーサー」というロケットカウルのカフェレーサー。
GPX JAPAN | 日本 | Http://gpxjapan.co.jp
一目でそのデザインの虜になったものの、大型二輪免許取得の真っ最中だったこともあり、購入候補からは外れていたんです。
その後、紆余曲折があって我が相棒GNとのバイクライフがスタートします。
が・・・。
もしその時、レジェンド150の存在を知っていたら。
そう考えると、少し怖い。
それでもたぶん、GNを買っていたとは思います。
その時はまだ、150ccという排気量の魔力に気付いていなかったから。
複数台持ちは別として、私がバイクに求める1番重要な要素は「300m〜300kmの守備範囲」。
300m先のコンビニに行くにも気軽に出せて、300kmのワンデイツーリングも楽しませてくれること。
そう考えると、125ccは最適な選択肢。
実際、我が相棒GNがこれをほぼ完璧にこなしてくれています。
でもね。
150ccのこいつなら、もう一つ、法律の壁をも突破してくれちゃいます。
「125cc以下通行禁止」の壁を。
横浜ベイブリッジ。
横浜の市街地から町田・相模原方面を目指す保土ヶ谷バイパス。
外房の海を眺めながら走る九十九里有料道路。
茨城経由でバイク神社に至る鬼怒テクノ通り。
原付2種をこよなく愛する者にとっては、いずれも鬼門。
ちょっと考えただけでも、こんな「原付通行禁止」の路線がいくらでも思い浮かびます。
例えば東名のような本気の高速道路、「高速自動車国道」までは走れなくてもいいんです。
そんな道路を快適に走ろうと思ったら、今度は300mの守備範囲から外れてしまうから。
「300m〜300kmの守備範囲」
これをしっかりと押さえた上で、鬼門を突破する。
そこで25ccの排気量の差が、絶大な威力を発揮します。
レジェンド150に乗ると、嫌でもそれに気付かされてしまう。
そもそもこのバイクに興味を持った方であるならば、おそらく同じような目線でバイクを選ぶ方でしょう。そしてこの、スリムでありながら無骨なデザインに魅了された方。
間違いないです。
買い、ですよ。
ぜひ乗ってみてください。
試乗の機会を提供してくださったのは、千葉県松戸市のクロニクルさん。GPXの正規代理店です。
クロニクルさん、ありがとうございました!
先ほど少しご紹介したReturnerさん。
同じGPXのPOPz125とLegend150Sを駆って、魅力的なキャンプ動画やツーリング動画を配信しています。
こちらもぜひチェックしてみてください。